第393章 村上明慶に何かあった

黒田星奈は最初から最後まで、胸の中に村上明慶だけを抱えて生きていた。

鈴木七海が島に来たとか、去ったとか。そんなことに心を割く気も、割く暇もない。

村上香奈はガラス窓の前に立ち、長いこと中を見つめていた。

そこにいるのは、自分が全身で寄りかからなければならない母。

たとえその母が、母親として合格とは言い難く――養子を取った理由も、子どもを心から愛したいからではないとしても。

たぶん、子どもに村上明慶の姓を与えて、村上明慶との間に、もっと濃い結びつきを作りたかったのだろう。

澄んだ瞳が何度も揺れて、やがてガラスに反射する赤い灯へと吸い寄せられた。機器がカチ、カチと規則的に鳴り、村上...

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