第394章 一つの陰謀

鈴木七海は胸の奥がひやりと冷えた。

「……なに?」

こんな偶然、あるはずがない。

深夜の島。鈴木七海がずっと部屋にいたと証明してくれる者はいない。

その代わりに、鈴木七海が早い時間に部屋を出ていたと証明する者が現れた。

おずおずと名乗り出たのは村上香奈だった。黒田星奈の服の裾をそっと引き、そして素早く、怯えるように鈴木七海を一瞥する。

「わ、わたし……夜に鈴木七海お姉ちゃんへ電話したんです。でも、出てくれなくて」

黒田星奈が鋭く振り向いた。

「何時よ」

「たぶん……十時前です」

「ありえない!」

十時前なら、自分もホテルに戻ったばかりのはずだ。まだ身支度も終えていない頃...

ログインして続きを読む