第408章 詐欺師だ

老爺の姿をはっきり捉えた瞬間、鈴木七海の足がわずかに止まった。

「山下真衣さん……海外に長くいる名医って話じゃなかった? なのに、この格好って」

小声で問うと、胸の奥で警報が鳴る。

部屋の中には、はっきりわかるほど濃い香が焚かれている。俗世離れした“高名な先生”然とした佇まい。さらに、ボロボロの医書まで添えられて――。

どう見ても、漢方の人間だ。

漢方を見下しているわけじゃない。

黒田蓮の傷は脊椎だ。漢方だろうが西洋医学だろうが、治るなら何だっていい。とにかく彼を治したい。

ただ、目の前の賀数安紀は。

七海が思い描いていた人物像とも、業界でささやかれていた噂とも、あまりに違い...

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