第414章 F市へ向かう

鈴木七海が電話をかけるより早く、山下真衣のほうからちょうど連絡が入った。

一瞬きょとんとしてから通話を取り、真衣は真っ先に訊く。

「……何かありましたか?」

七海は軽い調子で答えた。最近は会社も順調で、新宇を除けば制御不能な案件などない――そのはずだった。

だが、山下真衣の声は切迫していた。

「鈴木社長。以前、松本暉さんとお話しされていた件なんですが……少し問題が出まして」

「なに? 松本暉に何があった?」

「中村信の件ですか?」と七海は思い当たる節を探りながら聞き返す。

真衣は小さく息を吐いた。声に滲むのは挫折感と苛立ちだ。

「松本暉さんと組むと決めたとき、うちで市場調査...

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