第420章 盗まれた遺伝子

遺伝子……。

鈴木七海の冷え切った表情が、ふいに固まった。思い出したのだ。

あのとき自分は不意打ちを食らったのに、体には何の症状も出なかった。家の中も、何ひとつ盗まれていない。

ただ――腕に、針穴がひとつ残っただけ。

当時は皆、毒でも盛られたのではと疑っていた。

けれど黒田星奈の口ぶりを聞いた瞬間、鈴木七海は背筋が凍るのを感じた。裏で動いた誰かが、彼女の遺伝子を盗み取ったのかもしれない。

冷や汗が噴き出し、抑えきれない悪寒が一気に襲う。胃の奥がむかついて、どうしようもなく気持ちが悪い。

自分の遺伝子が、悪意ある人間の手の中にあるかもしれない――そう思うだけで。

相手が何を企ん...

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