第425章 子どもに手を出す

これまで鈴木南は、鈴木七海にも佐藤奈須にも露骨な敵意を向けてきた。

顔を合わせればいつだって一触即発。刺がなくても刺を立て、わざわざ噛みつく。そんな女が――怯えて、興味本位で様子をうかがうみたいな顔をしたことが、今まであっただろうか。

それなのに今回は、ついさっきまで上村愛美の前で露骨に媚びていた鈴木南が、佐藤奈須の姿を見た途端、迷いもなく逃げ出した。

まるで敗走。いや、何かに後ろめたくて、何かを恐れている――そんな逃げ方だった。

背中は小さく、足取りはせわしない。全身で慌てふためき、逃げ散らかしている。

佐藤奈須は直感的に「おかしい」と思った。

上村愛美と視線を交わし、無事を確...

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