第435章 松本暉 賊心は死なず

空になった錠剤のブリスターが、賀数安紀の手の中にあった。

彼は顔色を変え、周囲を睨みつけて怒鳴った。

「これは黒田蓮の薬じゃない。誰がこいつを飲ませた?」

返事はない。

賀数安紀は深く息を吸い込んだ。いま最優先すべきは、黒田蓮を助けることだ。

責任の追及は、その後でいい。黒田蓮が持ち直してからでなければ、そんな余力も気力も出てこない。

鈴木七海は冷えた目で一同を見回し、それぞれの表情と反応を胸に刻むと、重い気配のまま視線を引き戻した。

――たぶん。

手を下したのは、黒田蓮のすぐそばにいる。

鈴木七海は低い声で確認する。

「先生の見立ては、飲むべきじゃない薬を飲まされた、と...

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