第458章 母の懐に戻る

鈴木七海と佐藤奈須は、そのまま踵を返して立ち去った。

道中、言葉はない。

二人とも胸の奥に重いものを抱えていた。

松坂利之への失望もあれば、拭いきれない悔いもある。なにより、松坂利之という線は思っていた以上に込み入っていた。松坂利之と黒田星奈、そして村上明慶の間には――まだ七海の知らない過去が、確かに横たわっている。

だが、短期間で洗い出すのは難しいだろう。

帰宅してからも、鈴木七海は無意識にため息を漏らした。次にどう動くべきか。考えるほどに、こめかみがじくじく痛む。

そのときだった。

黒田星奈から、唐突に電話が入る。

七海と佐藤奈須は同時に眉を上げ、跳ねる着信表示を、どこか...

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