第483章 再び実験室に深く入る

佐藤奈須が、唐突に松坂利之の名を出した。

鈴木七海ははっと我に返り、こくりと頷きながら考え込む。

「それも、悪くない手だと思う。でも……そんなに時間、待っていられないわ」

研究所の大扉は、もう目の前だ。

今ここで引き返せと言われて、素直に諦められるはずがない。胸の奥が、じりじりと焼けるみたいに悔しい。

それに――鈴木七海は、松坂利之を全面的に信用していなかった。

あの男が、かつて自分たちをどう利用したか。忘れられるわけがない。

鈴木七海が揺らいだのを見て、佐藤奈須は畳みかける。

「今回はこっちから出す情報だ。松坂は手を入れにくい。……共有を求められても、断れる」

そして、ま...

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