第494章 自分の父親を囮にする

小川和真は中村健が黙り込んだのを見て、問いかけた。

「何をするつもりだ? 村上明慶は俺の患者だ。ほかを当たったって、誰にも救えやしない」

「誰が助けるなんて言った?」

その瞬間、悠然と立ち上がりかけていた中村健が――ふっと、また椅子に腰を落とした。

鈴木七海への心配の色は、もうどこにもない。

むしろ面白がるように肩の力を抜き、機嫌よさげにグラスを持ち上げて、くるりと揺らす。

「……やっぱり、おまえにもう一回チャンスをやってもいい気がしてきた」

何かを思いついたのだろう。

目の奥に、湿った暗い光がすっと走る。愉快でたまらない、とでも言いたげな色。

鈴木七海を屈服させる手段を見...

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