第499章 交渉

鈴木七海と浅海毅士が合流すると、二人がかりで小川和真を山の麓まで運び出した。

浅海武治が追って外へ飛び出した頃には、もう――車の排気すら見えない。

「……くそっ」

前代未聞の苛立ちが腹の底で煮えたぎる。まさか、またしても鈴木七海に出し抜かれるとは。浅海武治は低く毒づいた。

そこへ部下が駆けつけ、恐る恐る声をかける。

「浅海さん、追いますか。こっちは土地勘があります」

命を張れば、鈴木七海を途中で捕まえられる可能性はある――はずだった。

だが浅海武治は歯を食いしばり、乱暴に手を振った。

「放っておけ。この件は……別に手を打つ」

そう言い捨てると、本当に追撃を諦めた。鈴木七海も...

ログインして続きを読む