第501章 スパイの寝返り

中村健に命じられ、鈴木七海の会社へスパイとして送り込まれた男がいた。

名は満重真典。

ある日、満重真典のもとへ中村健から指示が飛んできた。だが彼の返事は歯切れが悪く、乗り気とは言いがたい。

最近の中村健はついていない。長年そばにいた腹心が何人も、尻ぬぐいをさせられて牢屋行き――そんな光景を嫌というほど見てきた。

満重真典の心が冷えていくのも無理はない。

むしろ、これまで中村健が自分の存在を思い出さなかったことを、内心では幸運だとすら思っていた。ところが、だ。

いきなり矛先が向けられたうえ、最初の命令がこれだ。

鈴木七海が最重要視しているプロジェクトを潰せ。

さすがに無茶がある...

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