第78章 あなたは鈴木七海です

佐藤奈須は少し酔っているようで、今は一言も発さず隅に縮こまり、その瞳はぼんやりとしていた。

こうして黙り込んでいると、本当に酔っているかのようだ。

「佐藤奈須、酔ってるの」

鈴木七海が尋ねる。

佐藤奈須は低く「ん」と応え、彼女ににじり寄り、顔を上げて鈴木七海を見つめ、口元に笑みを浮かべた。

「酔ってない。まだお前のことはわかる」

彼は鈴木七海の手を握り、軽く力を込める。

彼は本当に酔っているのだろうか?

彼の指先が彼女の掌をなぞり、微かにくすぐったい。

ぐっと力を込め、彼は彼女を自分の隣へと引き寄せ、その身体をぴったりと密着させた。

鈴木七海は、彼の身体から伝わる熱さえ感...

ログインして続きを読む