第107章

 鷺沢雪紘は急いで彼女を抱きかかえて病室へ運び込むと、すぐに医師を呼んだ。

 一通りの処置を終え、ようやく水無瀬柚季が目を覚ました。

 体に別状はなかった。ただ、あまりの衝撃と激昂により、心が耐えきれなくなっただけだ。

 彼女はまだ状況が飲み込めず、呆然としていた。

「何か、食べたほうがいい」

 鷺沢雪紘は、彼女が好んで食べていた粥をわざわざ買ってきていた。

 しかし、水無瀬柚季に食欲などあるはずがない。

「お祖母ちゃんは……?」

 鷺沢雪紘は匙ですくった粥をふーふーと冷ましながら、諭すように言った。

「少しでも食べるんだ。でないと、光ちゃんが心配するぞ」

 光ちゃんの存...

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