第126章

鷺沢は目を閉じたまま、まるで白波遥の思考を見透かしたかのように口を開いた。

「私が冷酷すぎると思うか?」

 白波遥にそれを肯定する度胸などあるはずもない。

「滅相もございません。旦那様のなされることには、すべて相応の道理がおありでしょう」

「道理、か……」

 鷺沢はゆっくりと目を開け、薄暗くなり始めた空を見上げた。一雨来そうな気配だ。

「道理というのは、いつだって弱者に説くためのものだ」

 そして、その道理を定めるのは、いつだって強者である。

「急げ。雨になる。庭の花を見ておかねばならん」

 白波遥は「はい」と短く応じた。

 権力者たちの目には、生きた人間の命よりも、庭に...

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