第146章

 闇に閉ざされた部屋。

 漆黒の闇が広がり、指先さえ見えない。硯川文人が目を開けると、そこは氷のように冷たい床の上だった。骨まで凍みるような寒気が這い上がってくる。

「……誰か、いるのか?」

 返事はない。

 硯川文人の記憶にあるのは、路地裏で襲撃されたこと、そして若い男に蹴り飛ばされて意識を失ったことだけだ。それ以降の記憶はぷっつりと途切れている。

 一体、ここはどこだ?

 あの若い男に連れ去られたのか、それとも鷺沢さんの縄張りなのか?

 不意に、ドアが開く音がした。

 硯川文人はゴクリと唾を飲み込んだ。

「誰だ?」

 体中が悲鳴を上げている。特に肋骨は折れているのでは...

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