第156章

鷺沢雪紘は、光ちゃんを連れて家の前に立っていた。

 光ちゃんが顔を見上げる。

「パパ、どうしてここに来たの? ママはいる?」

 その可能性を思うだけで、光ちゃんは心を躍らせる。

 前回ここに来た時は、ママを見つけられなかったというのに。

 鷺沢雪紘が鍵を取り出し、ドアを開ける。

 室内の調度品は以前と全く同じだ。光ちゃんは中に入るなり、寝室からキッチン、そして洗面所へと、しらみつぶしに探し回った。

 けれど、どこも空っぽだった。

「ママ、いないよ」

 鷺沢雪紘は手招きをした。

「これからは、パパと一緒にここに住もうか」

 光ちゃんは聡明だ。

「ここでママの帰りを待つの...

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