第173章

「誰だか分かったのか?」

 ドラマにハマってからというもの、娘の光は通りすがりの他人を芸能人と見間違えてばかりいる。

 こんなやり取りは、もう幾度目になるか分からない。

 鷺沢雪紘は、娘の言葉を話半分に聞き流していた。

 光ちゃんは頬をポリポリと掻いた。一瞬目が合っただけなので、今さら言葉で形容するのは少し難しい。

「えっとね……すごく綺麗な、目だったの」

 車が空港に到着すると、鷺沢雪紘は光の手を引いてロビーへと歩き出した。

「目は心の窓と言うからな。綺麗なのは良いことだ」

「違うの!」

 光ちゃんは、その目がどこか懐かしく感じられたのだ。けれど、どう表現していいか分から...

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