第187章

 雨宮澪は素早く、光が口を開きかけた瞬間にマイクを塞いだ。

 鷺沢雪紘には「パパ」という一言しか聞こえなかった。

「今、何と言った?」

 雨宮澪はスマートウォッチを奪い取った。

「今日はあたしが光ちゃんを迎えに行くわ。うちの両親がこの子に会いたがってるの」

「いいだろう。だが九時前には送り返してくれ」

「わかってるわよ、お宅の門限でしょ」

 通話が切れた後、街角に停まっていた黒塗りの高級車が音もなく走り去ったことに、誰も気づかなかった。

 運転席の男が言った。

「さきほど、雨宮さんと光お嬢様が見えた気がしましたが」

「構わん、好きにさせてやれ」

 鷺沢雪紘はパソコンの画...

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