第208章

「用件を言え」

 男が振り返る。その端正な顔立ちは、氷河のように冷ややかだった。

 遠野望は彼を見つめ、ふと激しい嫉妬を覚えた。

 あんな両足の不自由な、車椅子生活の女のどこがいいというのか。なぜ二人の男がこぞって彼女に惹かれるのか、理解に苦しむ。

 だが、今回の目的はこの男を怒らせることではない。

 だから、本音は飲み込んだ。

 それどころか、心にもない言葉を口にする。

「実は私、あの方のことを結構評価しているのよ。でも、彼女たちの仲が良すぎて……私たちが友人になるのは難しそうね」

「十秒やる。言いたいことを全て言え。それを過ぎれば二度と機会はない」

 鷺沢雪紘は、他人に...

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