第210章

「叢雲さん。今回は本来、他の者を派遣する予定だったのですが、椎葉社長や鷺沢社長、それに他の取締役たちとも協議した結果、やはりあなたが適任だという結論に至りまして」

 木下矢はそう告げた。

「あの、私は誰と一緒に出張へ?」

「同僚の男性が一人同行します。ご安心ください、今回のプロジェクトと、出張先の都市について非常に造詣が深い方を選出しておりますので」

 水無瀬柚季は内心気が進まなかったが、社会人として拒否できない業務があることは理解していた。

 断る選択肢などないのだ。

「わかりました。協力させていただきます」

 翌朝、水無瀬柚季は出張の件を兄の叢雲柚斗に伝えた。

 叢雲柚斗...

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