第218章

椎葉櫂がオフィスを出ると、廊下に佇む鷺沢雪紘の姿が目に入った。その目元は赤く腫れ上がっている。

 その瞬間、椎葉櫂の胸に得体の知れない痛みが走った。

 こんな鷺沢雪紘を見るのは、初めてだったからだ。

 彼は歩み寄り、声をかけた。

「もう諦めたらどうだ」

 この二年間、水無瀬柚季がいなくてもやってこれたではないか。

 なぜ今になって、そこまで執着するのか。

 椎葉櫂には理解できなかった。

「お前だって……雨宮澪を諦めろと言われたら、頷けるか?」

 椎葉櫂は押し黙った。言葉が出なかった。

 鷺沢雪紘はうつむき、呪詛のように呟いた。

「俺は、手放さない」

 絶対に。

 水...

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