第219章

水無瀬柚季は鷺沢雪紘に担ぎ上げられ、車内へと押し込まれた。愛用の車椅子も無造作にトランクへと放り込まれる。柚季は抵抗しなかった。そんなことをしても何の意味もないと、痛いほど理解していたからだ。

 彼女は後部座席に身を沈め、運転席でハンドルを握る鷺沢雪紘の背中を、氷のような冷たい瞳で見つめていた。

 帰路の間、車内には重苦しい沈黙だけが満ちていた。

 やがて車が別荘に到着すると、鷺沢雪紘は再び柚季を抱き上げ、リビングのソファへと丁寧に下ろした。

 そこでようやく、柚季は口を開く。

「鷺沢雪紘、一体どういうつもり?」

「水を飲むか?」

 雪紘は彼女の問いには答えず、ただ温かい白湯を...

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