第229章

「お客様、お連れ様は本当にお綺麗ですね」

 店員はお世辞を並べ立てるのに余念がない。

「こちらのドレスがとてもよくお似合いです。いえ、正確にはドレスのほうが彼女に選ばれたと言うべきでしょうか。これほどスタイルが良ければ何を召されても素敵ですが、この一着はまさにあつらえたようですわ」

 鷺沢雪紘の視線は、片時も水無瀬柚季から離れることがない。彼は店員の言葉を正すように口を開いた。

「ただの連れじゃない。俺の……」そこで一瞬言葉を切り、「……彼女だ」

 柚季の機嫌を損ねる心配さえなければ、本当は『妻』と呼びたいところだった。

「これを貰おう」

 彼は無造作にカードを差し出す。店員は...

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