第230章

「六億、一度! 六億、二度! 六億、三度!」

 司会者が振り下ろしたハンマーの音が、会場に響き渡る。

 最終的にそのペアのダイヤモンドリングは六億という高値で落札され、スタッフの手によって恭しく鷺沢雪紘のもとへと運ばれた。

 その光景を見つめる千早玲奈の瞳の奥には、嫉妬の炎が揺らめいていた。だが、表面上はあくまで冷静さを保っている。

「本当に素敵な指輪ね。以前、叔父様もおっしゃっていたわ。私と雪紘お兄さんにこそふさわしいって」

 彼女は暗に警告しているのだ。雪紘の決定がすべてではない、鷺沢家の当主という巨大な山が彼の上にのしかかっているのだと。

 鷺沢雪紘は彼女を一瞥し、口の端を...

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