第232章

「その通りだ」

 不意に、鷺沢雪紘が口を開いた。

 その場にいた全員が呆気にとられる中、鴉城咲夜だけが内心で快哉を叫んだ。やはりそうだ。自分の女が他の男と怪しい関係になっているのを許せる男など、この世にいるはずがないのだ。

「雪紘お兄さん、そんなに怒らないで。水無瀬柚季お姉さんが生きて帰ってこれただけで、何よりじゃない」

「身の潔白なんて、重要じゃないもの」

 彼女はあえてその単語を強調した。鷺沢雪紘の心に、疑念と怒りの種を植え付けるために。

 だが、言葉が終わるか終わらないかの瞬間だった。

 バシャッ!

 一杯の酒が、彼女の顔面に浴びせかけられた。

 アルコールが目に沁み...

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