第246章

「どうして?」

 家に帰り、二人きりになったところで、水無瀬柚季は雨宮澪にたまらず問いかけた。

 雨宮澪という人間は、白を白、黒を黒とはっきりさせなければ気が済まない、曲がったことが大嫌いな性分だ。

「椎葉櫂に脅されたの?」

 澪は首を横に振った。

「ううん、違う。柚季、高校時代のことを覚えてる? 二人で授業をサボって、塀をよじ登って……教頭に現行犯で見つかった時のこと。塀の上に跨ったまま、私たちは本当に若くて、怖いもの知らずだった。教頭に見つかったのにすぐに降りて謝るどころか、私はあっかんべーをして、あなたの手を引いて逃げ出した」

 当時は、その振る舞いが無性に格好良くて、自由...

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