第250章

黒塗りの高級車が病院の車寄せに停まっていた。鴉城蒼は後部座席に沈み込んだまま、降りようとする気配がない。

 助手が声をかけた。

「千早さんがお待ちですが」

 鴉城蒼は伏し目がちに言った。

「鴉城咲夜を国外へ送れ。半月は戻ってくるなと伝えろ。それから、彼女が先日しでかした件だが……」

 脳裏に、水無瀬柚季の顔がよぎる。

 一拍置いて、彼は重々しく告げた。

「揉み消せ」

「承知いたしました」

          ◇

 出発の前日、水無瀬柚季は一人で光ちゃんを寝かしつけていた。

 鷺沢雪紘はまだ戻っていなかった。

 光ちゃんが尋ねる。

「パパどこ? まだお仕事?」

 い...

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