第58章

「ええっ、どうしてですか? 模型はまだ壊れていませんし、あれほど大切になさっていたのに……」

家政婦の野原は困惑した声を上げた。

その模型は、彼が誰にも指一本触れさせようとしなかったものだ。

手入れも組み立ても、すべて彼自身の手で行い、ショーケースに入れて大切に保管していたのだ。

それこそ、見ることでさえ許可が必要なほどに。

「つべこべ言わず、さっさと捨ててこい」

鷺沢雪紘は冷ややかに言い放った。

野原はそれ以上聞くことができず、模型を持って階下へ降りた。だが、ゴミ箱へ捨てる段になって手が止まった。彼女は少し躊躇い、万が一主人が後悔したときのためにと、捨てずに自室へ...

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