第6章

秋葉家との関係は悪化の一途をたどっていたが、それでも婚約式の準備は淡々と進められていた。

世間体こそがすべて。一度公表した婚約を取り消せば、無用な憶測や噂を招きかねない。それが彼らの理屈だった。

一縷の望みを抱き、私はこの儀式に真摯に向き合おうとしていた。

晴れて森田家の一員となれば、新しい生活が始まり、凛奈から逃れられるかもしれないのだ。

凛奈は、私のドレスと装飾品の準備を手伝いたいと自ら申し出た。

「姉妹のしきたりなの」

彼女はそう言って微笑んだ。

「あなたに一番相応しいデザインを選んでおいたわ」

だが、部屋に届けられた箱を開けた瞬間、私は異変に気づいた。

サイズは明ら...

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