第101章 不自由はさせない

西園寺希美は神宮寺翁の言葉を反芻し、その鋭い眼光から逃げることなく対峙していた。

誰かが挨拶のために立ち上がろうとしたその時、まだ腰を浮かせたばかりの彼らの視界の端に、鮮やかなナツメ色が飛び込んできた。

周知の事実だが、神宮寺翁はこのナツメ色の唐装(とうそう)をこよなく愛している。

その姿を認めるや否や、全員が示し合わせたように起立した。

神宮寺翁の入場と共に、家宴の幕が厳かに切って落とされた。

家宴とは名ばかりで、実態は私的な食事会に近い。神宮寺家の人間が少ないため、少しでも賑やかにしようと、親しい関係者を招いているに過ぎないからだ。

例年の家宴であれば、上座に神宮寺翁、次いで...

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