第14章 好きに使っていい

しかし、神宮寺蓮は彼女に淡白な視線を投げただけだった。

すぐに西園寺玲奈の方を向くと、波のない静かな声で言った。

「気にするな。放っておけばいい」

一拍置いて、彼は付け加えた。

「彼女は君の部下だ。仕事に関することなら、好きにこき使えばいい。遠慮する必要はない」

好きにこき使え。

遠慮はいらない。

その言葉はまるで重い鉄槌のように、西園寺希美の心臓を強打し、彼女が抱いていた最後の一片の期待をも粉々に砕いた。

神宮寺蓮が西園寺玲奈の手からミルクティーを自然に受け取り、彼女と肩を並べて去っていく。その背中が廊下の突き当たりに消えるまで、彼女はただ見送ることしかできなかった。

最...

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