第164章 好きじゃない

第3章

その言葉が放たれた瞬間、病室全体が静まり返った。

居川奥さんは深く溜息をついた。

「一生知らないままでいるのが一番だよ。あるいは知っていたとしても、彼女の母親と同じように、墓場まで持っていくことだね。あの遺産を受け取ったとしても、少しずつ分けて、誰にも見つからないように隠し通すんだ」

居川梨乃は眉をひそめた。

「でも、裏で糸を引いている人間を直接通報すればいいんじゃないの?」

あまりに無邪気なその発言に、居川奥さんの表情が厳しくなった。

「何も分かっていないくせに、軽々しいことを口にするんじゃないよ。親の躾がなっていないと後ろ指をさされるのはこっちなんだからね」

母親...

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