第174章 姿勢

彼がこれほど低姿勢に出ることは稀だ。だが、身を屈めてなお、その身に纏う支配者としての風格は些かも損なわれていない。むしろ、その恭しさが冷徹な支配力との落差(ギャップ)を際立たせ、底知れぬ圧力を生んでいた。

神宮寺家の老当主にとって、この空気感は馴染み深いものだった。

かつて長男もまた、このように爪を隠し、余裕綽々とした態度で妻への恋慕を笑って語っていたものだ。

表面的な謙遜の下に隠されたその気迫こそが、剥き出しの強引さよりも遥かに無視できない重みを持っていた。

祖父の視線は孫の全身を値踏みするように彷徨い、やがてゆっくりと背もたれに体を預けた。全身から発していた激情はすでに鳴りを潜め...

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