第176章 誰がために

橘奏太は神宮寺直人と面識こそないが、その心理はおおよそ察しがついていた。だからこそ、彼はただ鼻で笑うだけで、反論はしなかった。

二人の会話は長くは続かず、いくつかの重要な情報を交換しただけで終わった。

橘奏太との通話を終えると、西園寺希美はソファに沈み込み、呆然としていた。

いや、呆然というよりは、得られた情報の断片を繋ぎ合わせていると言うべきか。

橘の話によれば、現在、神宮寺直人と神宮寺蓮の間には張り詰めた緊張が走っているらしい。その導火線となったのは、先日の村居大輔の交通事故だという。

村居大輔の名を聞いて、西園寺希美は彼が三日間ほど姿を消したことを思い出した。再び現れた時、そ...

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