第187章 別の目的

たとえ橘奏太がどれほど拒みたいと願っても、西園寺希美がメイドに丁重に部屋から連れ出されていく様を、ただ指をくわえて見送るしかなかった。

カチャリ。

錠が下りる乾いた音が響いた瞬間、橘奏太の背筋を悪寒が走った。

「ラリーを棄権したそうだな?」

橘昌浩の声色は平静を装っていたが、その低められたトーンには隠しきれない不満が滲んでいた。

その言葉に、橘奏太は頭皮が引きつるような感覚を覚えた。

彼は慌てて弁明しようと口を開く。

「そ、それは、その、ラリーというのは……」

だが、しどろもどろに同じ言葉を繰り返すばかりで、弁解どころか、自らの分が悪さを露呈しているだけだった。

橘昌浩は、...

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