第196章 到着

神宮寺蓮はスマートフォンの画面を一瞥しただけで、足を止めることなく、待機していた黒塗りのカリナンへと向かった。

ドアが恭しく開かれると、車内からレザーとシダーウッドの冷ややかな香りが漂ってくる。

「聖マリア病院へ」

男は冷徹に告げ、無駄のない動作でシートに身を沈めた。

後方から小走りでついてきたマルコたちは、車には乗り込まなかった。

マルコは窓枠に手をかけ、車内の神宮寺蓮と視線を交わす。

「追手の者をつけておく」

「ああ、頼む、叔父さん」

マルコの配慮に、神宮寺蓮の表情がわずかに和らいだ。彼は軽く頷き、その声色にも微かな温かみが宿る。

短い会話の後、黒のカリナンは滑るように...

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