第201章 公明正大な身分

その言葉を聞いて、マルコは瞬時に目を見開いた。病室の中を覗き込み、「中に洗面所もないのか?」

彼はすぐに橘昌浩に視線を向けた。その目には、隠しきれない非難の色が滲んでいる。

だが、橘昌浩にしてみればとんだ濡れ衣だ。そもそもこの病室を手配したのは彼ではない。駆けつけた時にはすでにここだったし、受付スタッフが気を利かせて個室を用意してくれたのだから、これでも上等な部類に入るはずだ。

そう思い至り、橘昌浩は強気に言い返した。

「前のが急すぎたんだよ。新しい病室はもう申請済みだ」

二人が言い合っている間に、神宮寺蓮はすでに西園寺希美のそばへ歩み寄っていた。

彼は掌を彼女の背中に軽く添え、...

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