第242章 待ちわびて

エトワール共和国カンヌ、ケルサホテル二十八階。

赤髪のベンジャミンは、部屋の中をせわしなく歩き回っていた。時折、部屋の入り口へと視線を向けるが、一向に扉が開く気配はない。「チッ」と舌打ちをしてうつむき、頭を振りながら、また歩き始める。

そんな行動が一時間近く続いた頃、ようやくドアの向こうからカチャリと音が響いた。

うつむいたまま足を進めていたベンジャミンは、その音を聞きつけるや否や顔を上げ、早足でドアへと向かった。

外から入ってきたのは、金髪に黒縁眼鏡をかけた中年の男だった。彼は部屋に入るなり被っていた帽子を脱ぎ、こちらへ向かってくるベンジャミンを見て、深く息を吐き出した。

「どう...

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