第244章 美しい期待

当時の西園寺貴史の美貌は、まさに驚天動地と言えるほどであった。

ベンジャミンは時折、父が西園寺貴史の遺産を守る手助けを承諾したのは、あの顔を前にしてどうしても断り切れなかったからではないか、と考えることがあった。

そしてその決断が、結果としてクーパー家の悲劇的な物語の幕開けとなってしまったのだ。

ベンジャミンは今年で五十代半ばになる。

自由な恋愛と出産を尊ぶ海外の社会において、五十代といえば、孫はおろかひ孫がいてもおかしくない年齢だ。

しかし、ベンジャミンには妻すらおらず、独り身であった。

「顔が似ているというだけで?」

西園寺希美は一瞬驚いた。相手が自分の身元を特定した方法が...

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