第250章 語りたがらない過去

橘賢治は目の前のスープをゆっくりとかき混ぜながら、穏やかな口調で言った。

「お前が親父の居場所を気にするなんて、何年ぶりだ?」

「気にしてたら、きりがないだろう」

橘奏太は呆れたように目を剥いた。

「親父が家に十二時間以上いたことなんて、今まで一度でもあったか?」

橘賢治はしばし沈黙したが、なおもその問いにこだわった。

「じゃあ、今回は何の用で親父を探してるんだ?」

それでも奏太は具体的な目的を明かそうとせず、ただ一言、短く返した。

「ちょっと用があるんだ」

これ以上聞き出すのは無理だと悟り、賢治も追求を諦めた。

彼は昼に食堂で済ませていたため、スープを一杯飲んだだけで満...

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