第27章 破壊された遺物

「お仕置き部屋」――それは西園寺本邸の一角にある、窓一つない陰湿な物置部屋のことだ。

幼い頃、花見美代子は機嫌が悪くなると、決まってそこへ彼女を閉じ込めたものだった。

その言葉を聞いた瞬間、西園寺玲奈の瞳に隠しきれない喜色が走った。口元の卑しい笑みは、もはや隠そうともしていない。

西園寺希美の心は、冷たい海の底へと沈んでいった。

彼女は父である西園寺明を、花見美代子の怨毒に満ちた瞳を、そして西園寺玲奈の勝ち誇った顔を見渡した。

ふと、全てが滑稽でたまらなく思えてきた。

希美はゆっくりと顔を上げ、その場の三人を冷ややかに見据えた。最後に視線を西園寺明に固定すると、絶望の淵に立つ者特...

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