第274章 エトワール共和国を去る

「あのボディガードは離れていません。部屋にも人が残っています。出発したのは、マルコ・ルッソと神宮寺蓮の二人だけです」

ドウクと呼ばれた男は、ごくりと唾を飲み込み、平坦ながらも微かに強張った声で報告した。

電話越しの男の声は、ひどくしゃがれて耳障りだった。単なるヘビースモーカーのそれではなく、喉に穴が空いているかのような、絞り出すような擦れ声だった。

「よし、監視を続けろ」

……

駐機場では、プライベートジェットが乗客の到着を静かに待っていた。

最初に姿を現したのはリンカーン・ナビゲーター。

続いて、圧倒的な存在感を放つ漆黒のリンカーンが滑り込んでくる。水面のように滑らかな黒の塗...

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