第284章 ナイヴィク

午前九時、十二時間にも及ぶ長いフライトを経て、草柳真名はようやくエトワール共和国のカンヌに降り立った。

直行便がなかったため、途中で一度乗り継ぎまでしなければならなかった。

「ハニー、こんな遠くまでどうして?」

背後からアヤナの声が聞こえ、草柳真名の心の中で燃えていた情熱が一瞬にして冷や水を浴びせられたように消え失せた。

彼女は唇を噛み締め、苛立ちを隠してから、すでに隣に立っているアヤナへと振り向いた。

「わざわざ見送りに来る必要なんてなかったのに」

アヤナはそれを聞いて口を尖らせた。

「だって心配だったんだもん。十時間以上のフライトで、誰も付き添いがいないなんて。途中で何かあ...

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