第289章 突然発狂する

その言葉を耳にした瞬間、西園寺希美の頭に真っ先に浮かんだのは、ナタサの人違いだという推測だった。年老いた人間が誰かと見間違えるのは、決して珍しいことではない。

だが、ナタサの口から続いた言葉は、その推測を容易く打ち砕いた。

その一言が、西園寺希美の全身に総毛を立たせる。

「そうね、あなたはまだ若い。人生はこれからだというのに、どうして自ら命を絶とうなんて……」

深い嘆きが込められたその響き。まるで彼女の知る西園寺さんが、とうの昔に自ら命を絶った死者であるかのような口ぶりだった。

クッキーを頬張っていた西園寺希美の心臓が、ドクンと嫌な音を立てて跳ねる。彼女は恐る恐る、ぎこちない動きで...

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