第34章 擁護

この展開は、誰の予想も裏切るものだった。

西園寺玲奈の顔に浮かびかけた勝ち誇った笑みは、瞬時に驚愕へと塗り替えられる。

傍観していた二人の撮影スタッフも、面白がるように眉をひそめた。

西園寺希美は眉をひそめ、涼しい顔をしている神宮寺蓮を見た。なぜあえて自分を巻き込んだのか理解に苦しむ。西園寺玲奈の執念深い性格だ。このケーキを受け取ったが最後、後でどんな嫌がらせを受けるか分かったものではない。

神宮寺蓮は動じることなく、わずかに身を起こすと、目の前のローテーブルにケーキを置いた。平淡な口調で言う。

「丁度いい。俺は甘い物は食わないんでな」

西園寺玲奈の顔に浮かんだ驚きは一瞬で消え、...

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