第39章 改造

この騒ぎは、たちまち周囲の耳目を集めることとなった。

橘奏太が矢面に立ったことに人々は驚きつつも、その腕に抱かれた女性へ向ける視線には、どこか野次馬根性めいた色が混じっている。

西園寺希美は、まさか橘奏太がここに現れるとは思ってもいなかった。知り合いにこれほど無様な姿を見られた恥ずかしさに、彼女の頬は微かに熱を帯びた。

居川優も橘奏太の悪名は聞き及んでいる。自分では到底敵わないと悟り、腹立たしさを押し殺して、腫れ上がった頬を押さえながらへらへらと笑って後ずさった。

「脳味噌の足りない馬鹿が!」

橘奏太は奥歯を噛み締め、人垣の後ろに隠れている花見美代子を冷ややかに睨みつけた。

前回...

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