第41章 排除の心

第1章

花見美代子は突然頬を張られ、怒りに震えていた矢先に西園寺明の叱責を浴びせられた。彼女はカッと目を見開き、夫を睨みつけた。

「なんですって!」

彼女は自分のやり方は十分に隠密だったと自負していた。たとえあのような格好をした西園寺希美を連れて人混みを歩いたとしても、あの小娘が自分でそうしたいと言い張ったのだと言い逃れれば、自分に責任が及ぶことなどないはずだった。

西園寺明は激情を露わにした後、少しだけ落ち着きを取り戻し、重々しい様子でソファに腰を下ろした。

「宴会場では誰もが噂しているぞ。西園寺希美は神宮寺グループに数年勤務し、あまつさえ神宮寺蓮が直々に指名したデザイン部のチー...

ログインして続きを読む