第55章 玉佩を取り戻す

城戸和彦の口調は人を食ったようなもので、西園寺玲奈に向けられた眼差しには、猫が鼠をいたぶるような嗜虐的な色が混じっていた。

西園寺玲奈はその視線に射すくめられ、背筋に冷たいものが走るのを感じた。

神宮寺の御隠居は眉をひそめ、西園寺玲奈へと視線を転じた。

「お祖父様、違うんです。私は……」

御隠居に見られた西園寺玲奈は、すぐに唇を尖らせ、媚びるように甘えた声を出した。

御隠居が口を開くよりも早く、城戸和彦が薄ら笑いを浮かべて割って入る。

「マスコミ連中が喜びそうなネタだとは思いませんか? 『神宮寺家の未来の奥方、義妹に嫉妬し、神宮寺グループ社員と結託して陰湿ないじめ』……御隠居、こ...

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