第85章 接待

だが、西園寺絵里が仕組んだこの接待は、すでに上層部の承認を得ていた。彼女の言い分に間違いはなく、あくまで西園寺希美の合意を取り付けるためのものだという建前だったからだ。

午後八時。西園寺希美はタクシーを飛ばし、海市でも名の知れた料亭『水月楼』へと向かった。

仲居に案内され、四階の個室へと通される。

襖を開けると、そこにはすでに西園寺絵里の姿があった。その傍らには、二人の中年男が座っている。

見覚えのない顔だった。

希美はまず絵里に視線を向け、努めて平静な声を出した。

「西園寺部長」

「おやあ、これが西園寺部長ですか? いやはや、百聞は一見に如かずとはこのことだ。西園寺部長が美人...

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